かつて、農学部を志望している高校生の教え子がいました。「先生、農学部だったら物理を取らなくても大丈夫ですよね。」と尋ねられたので「例えば北大の農学部だったら物理が無くても、生物と化学で受験できるよ。」と答えました。「ああそうですか、良かった。僕は本当に物理できないんですよ」「でも理系に進むんだったら物理はやっておいたほうがいいよ。」「どうしてですか」「生物学をきちんとやるには化学が必要だし、化学をきちんとやるには物理学が必要だし、物理学をきちんとやるには数学が必要なんだよ。だから理系に進むならば、高校レベルの物理くらいはやっておいたほうが絶対いいと思うよ。」「ふーん。そうなんですか・・・」
1年前の2021年度入試において、早稲田大学政治経済学部の入試科目の変更が大きな話題を呼びました。前年度までは、大学独自問題のみで、外国語と国語が必須、地理・歴史・数学から1科目選択で合計3科目の入試となっていました。政治経済学部は早大の中でも最難関の学部であり、特に日本史・世界史の試験は、近現代の政治史に重きを置いた極めて難易度の高い問題でした。
ところが2021年度入試では、共通テストと大学独自試験を1:1の比で課す入試となりました。共通テストは外国語・国語・数学(数学ⅠA)の3科目を必須とし、選択科目(地理・歴史・公民、数学ⅡB、理科から1科目選択)も合わせて計4科目と前年度までより1科目増加となりました。大学独自問題は国語と英語からなる「総合問題」が出題されています。
政治経済学部の名を高めていた社会科を必須科目から外し、数学ⅠAを必須科目にしたことは、世の中から大きな注目を集めました。歴史の知識を大量に暗記することができる生徒ではなく、数学を用いた論理的思考ができる生徒を早稲田大学は受け入れる、ということを表明したのだと世の中が受けとめたからです。
「数学が苦手だから文系にする」「物理が苦手だから農学部にする」「日本の中にいれば英語なんて使わないよ」「私大のほうが受験科目が少なくて楽」そんな発想が過去のものになりつつあります。自分が目指す将来の夢のためには、あるいは自分が大学で学びたいテーマのためには、たとえ苦手であっても一生懸命その科目に取組むことが求められる時代になりつつあるのだと思います。
澄川教室・鈴木
昨年2021年の1月にスタートした、このブログ『教育・子育て・学習法』も無事新しい年を迎えることができそうです。これもひとえにブログの読者のみなさまのおかげでございます。本当にありがとうございました。日頃のお引き立てに心より感謝を申し上げると同時に、2022年も引き続きなお一層のご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。ブログの読者のみなさまにとって2022年が良き1年となることを心よりお祈り申し上げます。
くじら塾株式会社/パシフィック・セミナー
代表 北山 義晃
他 職員一同
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