北海道教育委員会は6月15日、2021年3月に行った公立高校一般入試の学力検査の結果を公表しました。北海道では、各高校の裁量によって利用を決める、難易度の高い『裁量問題』と、一般的なレベルの『標準問題』の2種類の入試問題が使用されています。
5教科合計(1科目60点満点で300点満点)の平均点は、『裁量問題』が193.1点(2020年度183.4点で+9.7点)、『標準問題』が135.0点(2020年度125.0点で+10.0点)、といずれも大きく平均点が伸びました。
教科別を見てみますと、数学の標準問題が28.3点(2020年度23..2点で+5.1点)、裁量問題が33.9点(2020年度30.1点で+3.8点)、と近年にない上昇を見せています。裁量問題のない理科は30.1点(2020年度26..0点で+4.1点)と、これも大きく伸びました。国語の裁量問題のみ平均点が下がり37.9点(2020年度38..4点で-0.5点)でした。
北海道では新型コロナウイルスの影響で、2020年の2月末から中学校の休校が始まり、実質3か月間の休校となったため、全教科で出題範囲の縮小が行われました。英語では中学3年最後の『関係代名詞』、数学では中学3年後半の『相似な図形』『円周角』『三平方の定理』が除外され、例えば数学の図形分野の出題はすべて、中学1・2年での履修範囲からとなっていました。道教委は入試直後のコメントとして「例年と変わらない難易度にした」と発表しておりましたが、実際には平均点は大幅に上昇したことになります。
2022年(令和4年)3月の令和4年度入学者選抜より、北海道の公立高校の入試の仕組みが変わります。難易度の高い『学校裁量問題』が無くなることにより、現在の『標準問題』のレベルの問題に統一される、ということは無さそうです。むしろ『標準問題』が無くなって、現在の『裁量問題』の方へ近づいていくのだ、と予想されます。
教科書丸暗記型、一問一答型の勉強法だけでは、通用しない入試にだんだんとなってきています。来年度以降は、この方向性がなお一層強化され、記述問題、資料の読み取り問題、複数単元の融合問題が更に増えていくことでしょう。教科書の本質を身につけた上で、さらに『考える力』を発揮できるようになることが求められています。
澄川教室・鈴木
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