2021年12月16日木曜日

[君のことが好きだから、君のことを叱っているんだよ」は通じているか?





「忘れ物をしないように、気をつけようね」

「ちゃんと挨拶しようね」

「おしゃべりしないでね」

「片付けようね」・・・

 

最初は優しくしていても、

だんだん

「また忘れちゃったんだね」

「あいさつが聞こえないな」

「うるさいよ、しずかにして」

「ちらかっているよ」・・・

 

ちょっと言い方にトゲが入ってきますよね。

日常生活の中で、お父さんお母さんは、

こういうことがとても気になって、ついつい言ってしまうと思います。

 

 

塾という空間でも、

先生方は、生徒一人ひとりに丁寧に指導していますが、

叱らなければならない場面もあります。

もちろん、トゲや嫌みのある言い方をするのではなくて、

なぜその子がその行動をとってしまっているのか、主張(言い訳?)も聞きますし、

なぜそれをやってはいけないのか、なぜ改善した方がいいのか、

というお話もさせてもらいます。

 

 

先日、立て続けに、生徒の好ましくない行動に向き合う機会がありました。

 

一人は小学3年生でした。

一緒に授業を受けている周りの子から「うるさい」「邪魔をする」と
繰り返し言われて、授業の後でお話をしました。

その場では「ごめんなさい」など言いますが、改善傾向がなく、
いろいろと話を聞いていくうちに、ふとあることに気が付きました。

私からも叱られることが度々あったので、
私からも嫌われていると思っていたようでした。

 

「私は、いいところもいっぱい知っているし、休み時間の君は最高!

 君のことが大好きだし、
 君は大きくなったら、かっこうよく仕事をしそうな雰囲気を持っている。
 君が大きくなるのが楽しみだよ。

だから、今、君を叱ることばっかりしたくない。
 だけど、授業中に周りの子に迷惑をかけるのであれば、
 それは、止めなければならないし、
 ほめてあげたくて、勉強も教えてあげたいけど、
 注意が多くなるとその時間はどんどん減っていくよね。

君の協力があると、授業が楽しくなるんだけど、どうだろうか。」

 

意外そうな顔をしていました。

いちいち親や先生から“好きだよ”と言ってもらえることなど、
小学生になればほとんどありません。

そんな中でもほとんどの子は、特にすねることなく、
多かれ少なかれ自分に自信をもって日常生活、勉強生活を送っていきます。

でも、たまにはこのように、自分は好かれていないと思っている子がいます。

「好きだよ」という気持ちは、
必要な時にはきちんと言葉にして伝えてあげるようにしています。

 

 

もう一人は、小6でした。

こちらも、ほぼ同じです。

「先生は、君の楽しいお話を聞くのが好きだし、君のことも大好きです。

 君はもっと伸びるし、伸ばしてあげたいと思っています。

先生は、この授業の時間、延々と君のおしゃべりに付き合ってもいいけど、
 時間の制限があるので、その分、教えることができなくてもったいないと
 考えています。今は、教えてあげた方が、成績が上がると思っているし、
 この時間は君のための時間だから、君は好きに使えるけど、
 先生の別の時間は別の生徒のための時間だったりします。

おしゃべりする時間は今がいいかな。あとがいいかな。」


自分に自信を無くしている感情に訴える言葉と、
時間の制約があるので理性的に解決したいという内容を、両方伝えます。

 

人とのつながりが、
オンライン上では近くなっているようで、
実際には遠くなっている部分も多いコロナ禍。

今まで言葉にする必要がなかったことでも、
必要になってきていることも多いと感じています。

“空気を読む”のも、今までとは違う部分の空気を読まなければならときがあります。

 

大人も子どもも、気持ちに向き合って、
言葉にしても、しなくても、
あなたのことが好きなんだ、
ということが伝わるコミュニケーションにしていきたいですね。

(白石教室:北山あさえ)

 

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