「子どもをほめながら育てるのがいいですよ」と、
どこかで聞いて、いざほめようと思うと、子どもをほめることが、
なかなかうまくできない時があります。
いつもテストでいい点を取ってくれるとは限らないからです。
ほめるときというのは、お父さんお母さんにとって、
勉強ができた時しか、ほめることがないでしょうか。
あるいは、習い事などをやっていたら、そこでほめることもあるかもしれませんが、
意外と家庭内で誉め言葉は多くないと思っています。
だいたい、家族ですし、親子ですから、
ついつい、ひと言ふたこと言いたくなります。
それはぐっと我慢して、「子どもをほめることができない」の意識を、
子どもをほめるネタはどこにでもある、と視点を広げて考える必要があります。
意識としては、親子というよりは、一人の人間として接するとしたら、と考えてみます。
そうすると、例えば、会社の同僚や友人の方と、
普段挨拶したり声掛けしたり感謝の言葉を伝えたりするのと同じように、
子どもにも、話すことはできるでしょうか。
たとえば、同僚の方には「これ片付けなさい!」とは言わないと思います。
「これお願いできますか?」という感じでしょうか。
そして、片付けてもらったら
「ありがとうございます。助かりました。」
これを子どもに使うと、
「これの片づけお願いできる?」「助かったよ、ありがとう。」となります。
実はこのやり取りの中に、子どもをほめる要素が⼊っています。
「助かったよ、ありがとう。」
この言葉は、子どもが自尊心を養うのにとても効果的です。
「よくできたね」とか「すごいね」などよりも、はるかに自立心が芽生えます。
当たり前にやってくれたことに対して、
大人が反応してくれた、ということが大事なのです。
ですから、テストで子どもがどんな点数を取ってきても、
褒めるのではなくて、お母さんの感想や気持ちを伝える工夫をしたらいいのです。
Iメッセージという用語をご存じの方もいらっしゃると思いますが、
子どもを承認して、自分の気持ちを伝えるというような、
かしこまった説明をされていますけど、
親子なのですから難しく考えずに、
お母さんが素直な気持ちで喜んだり、楽しんだりしていることを伝えればいいのです。
「あなたがいい点を取ってお母さんはうれしい」は、わかりやすく伝わると思いますが、
たとえ不本意な点数であっても、
「あなたには悪いけどこのテストの解答用紙を見ていると
映画のようにハラハラして楽しくなっちゃうわ。笑ってゴメンね!」
と言ったら、子どもだっておちょくられているのか認められてるのか複雑な気持には
なるかもしれませんが、少なくとも、何とかやろうとしたことは認めてもらえたと
わかるはずですし、お母さんから愛されてるなと感じるはずです。
このような感じで、話していけば、
子どもの人生にとって、
いいことばかりでも悪いことばかりでもないし、
悪いことと思っても考え方を変えて前向きになれるかもしれないし、
何かで救われて生きていける気がします。
そして、身近な人たちを楽しませ、助け合って生きていける明るさが身につくはずです。
「ほめることができなければ、認めてあげてください。」
ということも、子育ての本などによく出てきます。
そこには、このような意味があるのです。
ぜひ、こんな「ほめ方」もご家庭で使ってみてください。