誰のために、何のために学ぶのか。
もちろん自分のために学ぶ。
どんな人間にとっても自分が一番大事なはずだ。
そして、自分の大事な人のために学ぶ。
どんな人間にとっても自分が大事にしている人がいるはずだ。
「そもそも、お父さんお母さんの言うことを、1から10まで全部聞く必要はない。
親の言うことは、大体でいい。
少し適当に聞くくらいで丁度いいんだ。
まあ、聞いているとためになることも、結構あるだろ。
そこだけ聞いて、あとは適当に流してりゃあ、
ケンカになんかなるはずないだろう?
いちいちケンカなんかするな。
大人になれよ、って子どもか・・・」
塾で教えていると、
「親子ゲンカ中だから機嫌悪いんです!」って顔をしている生徒が時々いる。
「・・・お父さんやお母さんの言うことを、
君が聞くか聞かないか、そんなことはどっちだっていいんだ。
でもね、よーく考えてごらん。
もし、何かあったときに、
お父さんやお母さんを守らなくちゃいけないのは誰だ?」
親子ゲンカ中で不機嫌な生徒に時々尋ねるのだが、
大体の生徒は、(小学3年生であっても!)
「ぼくです…」とか「私です…」と答える。
「そうだよね。
でも残念ながら、無理だな。
何かあっても、君には、親を守るだけの力がない。
どうしたら、何かあったときに親を守れると思う?
どうしたら、その力を持てるようになると思う?」
「・・・・」
「君は、だれのために勉強してるんだい?」
「・・・自分のため・・・?」
「そうだな。
でも、それだけじゃない。
知恵や力を身につけて、
今はできないかもしれないけど、
自分の大事な人を守るためにするのが勉強なんじゃないのか?」
子どもはすぐ大人になる。
そして、家族を持つかもしれない。
その時に、家族を守るだけの力があり、
自分の子どもに伝える知恵を持っていれば、
その時、その生徒は、
どれほど幸せであることだろう。
また、大人になり、会社に入り
ちょっとしたプロジェクトを任されることがあるかもしれない。
その時、仲間に自分が学んだ知識や経験を伝えられたなら、
自分達が考えた仕事を、仲間とともに実現して行けたなら、
その時、その生徒は、
どれほどの満足感を感じることだろう。
誰のために、何のために学ぶのか。
もちろん自分のために学ぶ。
そして、自分の大事な人のために学ぶ。
人間は、一人で生きているわけではない。
「自分のために学ぶ」と「大事な人のために学ぶ」は同義だ。
子ども達は、まだ自分という世界観しかもっていない。
そこで、周りの大人が、将来のビジョンを少し見せてあげると
子どもたちが活き活きと学び始めることも多い。
子ども達は本能的に知っている。
学ぶことは楽しくて、役に立つし、必要なことを。
誰のために、何のために学ぶのか。
子どもたちに思い出させてあげられる塾でありたい。
パシフィック・セミナー 代表 北山義晃